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とーちゃんのこと。
 
なんちゅか、まだまだ街全体がびんぼぉで
ぽつぽつと錆びたトタン屋根のあばら屋
道なんかも舗装してないん
せやから、ちょっと雨降ったら、どろんこ
せわしない軽トラがつくった轍に水がたまるん
それでも走り回りよって、泥なんかまき散らして

なんとなくひとの活気があって
なんとなく夕陽が赤かったように思える昭和のお話
 


手前でがっちゃんこかったんゆぅとるんは裁断機
奥でがっちゃんこぷっしゅうゆぅとるんは圧着機
圧着機は「あっちゃき」と読みます
読みます、ちゅか、呼びます、呼ばれてました

機械のオイルが軍手とびこえてランニングに染み
同じところに飛ばんし、せやから斑点の数が増えてって
汗とオイルとで煮染めたみたいになるん

汗っかきやったとーちゃんは
ぶすっと仏頂面ではなかったように思う
たぶん、想像で、やけれども



夏は蒸し風呂やったそうです
接着剤使うし、せやから換気はしとったんやけど
天井が低くて、昼間も薄暗い町工場
開けっ放しの窓からは砂埃しか入ってこんかった
路地裏のむっとする饐えたどぶのにおいと


朝から晩まで、汗だくになって働いて
陽が沈むちょっとの間に夕涼み
工場の前の道ばたに床几引っ張り出して
工場のひとたちと麦茶飲んでたん
うん、仏頂面は似合わんわな、やっぱり



あっついあっついゆぅたわけやないけれど
道行くひとたちがかーちゃんをみて
あっつぃやろう、たいへんやろう
みんながみんな、そう声かけていったそうな

11ヶ月も4000gのでっかいわしがはいとったん
まぁ、あっついにきまっとるんやけど
にこにこして、大丈夫です
汗を拭き拭き、そう答えとったそうです



親不孝なわしは間に合わんかった
夏の盛りに一歩届かんかった
せっかく汗っかきのとーちゃんが
思い切って高い高いクーラー買ったのに
まぁ、月賦やったんやけどね

ろくでなしの息子が産まれたお祝い
クーラーは1歳の誕生日になってやっと働きましたとさ



ってあれ?
とーちゃんの話書こうと思ったんやけど
クーラーがヲチ(o・ω・o)?
 
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by mockin_snofkin | 2007-09-09 02:25 | 来し方、行く末。